「けーし風」第51号(2006.6)「特集 ヤンバルから吹く〈否〉の風」

2015年10月08日/ 本のこと

「けーし風」第51号の特集は「ヤンバルから吹く〈否〉の風」です。

けーし風051

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特集にあたって(岡本由希子)

東村・高江からのSOS
この春、米軍再編・日米「合意」が、キャンプ・シュワブ沖合の海上案から沿岸案、果ては「新沿岸案」「V字滑走路」などとめまぐるしく展開し大々的に報道され注目を集めているかげで、ヤンバルの森が危険にさらされていた。
1996年のSACO合意最終報告、北部訓練場の約半分を返還するかわりに残された南側にヘリパッドを「移設」する計画が、再編協議の進行をうかがいながら実施されようとしていたのだ。

「ヤンバルの森が、県民の水がめが、危ない!」小さな村の住民が、声を出しはじめた。
私たちがその声に出会ったのは、3月5日の県民総決起大会で配られていた「VOICE of TAKAE」と題された1枚のビラによってであった。

《えびやうなぎのいる川、子どもも安心して遊べる小さく美しい滝、鳥が鳴き、チョウやトンボが飛びかう高江。
県民のみなさん、一度高江を訪れ川辺にたたずみ、耳を澄ましてみて下さい。
本当に大事なものがここにあります。
高江だけでなく、県民の宝があります》(「VOICE of TAKAE」より)

「大変、こんなことが起きている! 高江に行ってみませんか?」ビラを受け取った友人に誘われて高江を訪れたのは3月下旬、新緑が鮮やかな頃だった。
本号座談会にも出席された安次嶺さんと伊佐さんに案内いただいて、高江共同売店を出発し、県道のすぐそばにあるヘリパッドや、海水揚水発電所近くの森の中や海岸線を見て回り、渓流沿いの肺の底まで緑に染まるような心地よいカフェで午後を過ごした。

コーヒー園や牧場、数々の工芸工房。
豊かな自然をいかして自立した地域を作り出そうとしている人びとの生活が、そこには感じられた。
ヤンバルの森に抱かれた高江には、確かに「宝」があるのだ。

(中略)

辺野古へ、そして辺野古から
国頭演習場実弾砲撃訓練阻止、恩納村の都市型戦闘訓練阻止、北部演習場ハリアー配備阻止、本部豊原区のP-3C送信施設建設阻止・・・こうした粘り強い闘いが広範な支持を得て計画を食い止めたという経験から、いま何を学べるだろう。

辺野古のボーリング調査阻止には戦後沖縄のさまざまな住民運動を担った人々が駆けつけ、座り込みのテント村では、各地域の〈経験〉を学びあい、わかちあった。
「辺野古は民主主義の学校」ともいわれた。
そしていま、辺野古の闘いがうみだしたものが、芽を出し、根を育て、各地でリレーされようとしている。

しかし日米両政府もこの10年間の間に、基地依存体制をこの地に着実に築きあげている。
つい数日前には、北部12市町村長(「北部市町村会会長」は宮城茂東村長)が揃って上京し、「防衛庁」に(!)北部振興策の継続を要請した、と報道された。

「みんなが反対すればやめさせられる」―当初は「みんな」であったものをそうでなくしていく力が、どこからどのようにくるのか、私たちはすでに知っている。
そして島ぐるみ闘争から50年、「みんな」になることが、いま、切実に求められている。
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Posted by ブックスマングルーブ店長 at 11:00│Comments(0)
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