「けーし風」第23号(1999.6)「特集 今、あらためて反基地を」

2015年10月06日/ 本のこと

「けーし風」第23号の特集は「今、あらためて反基地を」です。

けーし風023

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特集にあたって(浦島悦子)

本紙21号に登場した伊藤政子さんの講演会と写真展「イラクの子どもたちは今・・・爆撃と経済制裁にさらされて」を、私の所属する「新たな基地はいらない、やんばる女性ネット」の主催で行ったとき、私は衝撃のあまりしばらく声も出ないほどだった。
食べ物も薬も、住む家もなく、あらゆる希望を打ち砕かれて死を待つばかりの子どもたち―すなわち私たちがいまだ撤去することができずにいるこの島の軍事基地がもたらすものの実態と、目先のカネに心を奪われ、基地の誘致に浮かれているこの島のもうひとつの現状との落差。
めまいのするようなこの深淵を、どうすれば埋めることができるのだろう・・・と途方にくれた。

稲嶺県政誕生以降、タガのはずれたような基地誘致運動が県内各地で展開されている。
基地と引き替えに日本政府から最大限のカネを引き出せる「千載一遇のチャンス」「歴史的なビッグチャンス」に乗り遅れるなと、熱病は伝染し、サミット「狂想曲」がさらにそれを煽る・・・。

しかし、基地誘致運動は同時に、新たな反基地運動を呼び起こしてもいる。これまで基地の問題を自らのこととして考えなかった人々にも、暮らしに密着した問題として考えさせるようになった。

基地にねらわれている、あるいは基地の誘致運動が起こる地域は、過疎で貧しい(とされる)、逆に言えば自然が豊かに残されたところが多い。
名護市の東海岸(久志地域)の人々が「ヘリ基地のお陰で地域のすばらしさ、価値に気づいた」と言うように、基地問題の中で人々は「豊かさ」の内実を問い直しはじめている。
基地と引き替えの「豊かさ」や、どこからか降ってくるカネではなく、自然の恵みに感謝し、自らの手足と頭を使って働き、おたがいに助け合って得る、人間としてごくあたりまえの暮らしの中にこそ、カネに代えられない豊かさがあり、未来をつくるものだと感じつつある。

新ガイドライン関連法案が、沖縄での公聴会に一縷の期待を寄せた県民をあざ笑うかのように、それから一週間も経ずにいともやすやすと成立してしまった。
戦争への傾斜が加速度的に強まるなかで、反戦(もしくは非戦)・反基地とは何かがあらためて問われている。
それぞれの地で、地域と自然に根ざし、他者を踏みつけたり踏みつけられたりしない、まっとうな暮らしを求めてたたかう人々がいる。
同性のえこひいきかもしれないが、自然体で反基地を生きる女たちが特に輝いて見える。
そのような人々と思いを共有し、共感しあいつつ、反基地の原点に立ち戻りたいと思う。

特集の企画立案が遅れたため、個々の現場報告に加えて、共通の課題を話し合う座談会のようなものができなかったのは残念だった。
次の機会に期したい。
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Posted by ブックスマングルーブ店長 at 23:00│Comments(0)
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