「けーし風」第3号(1994.6)「特集 それぞれの戦後体験 「戦後50年」を問う」

2015年10月02日/ 本のこと

「けーし風」第3号の特集は「それぞれの戦後体験 「戦後50年」を問う」です。

けーし風003

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特集を組むに当たって(高良勉)

来年は日本の敗戦後50年の節目を迎える。
すでに行政やマスコミあるいは多くの民間団体で〈敗戦後50年〉を記念する企画や運動、イベントなどが計画されている。
例えば、新聞の〈特集〉や県行政の〈平和の礎〉計画、沖縄市の「戦後史資料館」建設など。

いったい、歴史を10年ごとや、50年ごとに区切ることに、どういう意味があるだろう。
私たちの生活や人生は、単純に、過去、現在、未来と流れているのではないはずだ。

しかし、戦後の、私たちの生活は、なかなか過去を振り返る余裕もなかった。
特に、沖縄ではそうであった。
次から次と、新しい社会的矛盾に追われて、常に現在的な解決を迫られたからである。
そして、問題は現在も未解決のままに続いている事例が多い。

だが、そのことによって私たちは、自分の体験を記録したり、運動を総括したり、そこから教訓を引き出したり、それを次の世代に伝えたりすることを怠りがちであった。
その結果、米軍政支配時代の経験や、復帰運動の体験や、教訓も知らない世代が増えている。

そこで、私たちはそれぞれの、戦後体験をできるだけ記録し、検証し、かつその教訓を生かすために住民の側から、どの様な運動が必要で、可能なのか議論していきたい。

とりわけ、日本本土で敗戦後50年を「敗戦の困難から復興した日本」、「日米安保に守られた平和な日本」「経済大国になった日本」、などと日本国家の利害のみから一面的にとらえ宣伝し、新たな日本ナショナリズムをあおりたてる傾向がある。

そのような風潮の中で、私たちはアジアや沖縄、日本にとって戦後50年とは何であるのか、その体験は私たち一人一人にとってどの様な意義を持っているのかを問うていきたい。
特に、敗戦、米軍政支配、朝鮮戦争、土地強奪、基地拡張、復帰運動、ベトナム戦争、湾岸戦争、などと、激動の時代をくぐりぬけて、生き延びてきた沖縄の、あるいはアジアの体験を持つ意味とは。
本特集が、そのような議論のきっかけにでもなればと祈っている。
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Posted by ブックスマングルーブ店長 at 16:12│Comments(0)
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