「けーし風」第68号(2010.9)「特集 元海兵隊員の言葉から考える」
「けーし風」第68号の特集は
「元海兵隊員の言葉から考える」です。
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特集にあたって(鳥山淳)
この半年ほど、「海兵隊の抑止力」という無意味な台詞をうんざりするほど聞かされ、読まされてきた。
いかに客観的な分析を装っていたとしても、その言葉は虚しい居直りでしかないと、多くの人々が感じ始めている。
そのようなときに、日本国籍をもつ一人の元海兵隊員が自らの体験をふまえて軽妙に、しかし信念を持って海兵隊について語る姿は、沖縄社会で話題となった。
あらためて言うまでもないことだが、米軍という巨大な軍隊を介して、沖縄の経験はさまざまな問題に否応なく接続している。
そしてその結節点には、兵士となった一人ひとりの人間がいる。
軍隊という組織の本質を身を以て体験したかれらが、そこから身を引き剥がしつつ何かを伝えようとするとき、その言葉は何らかのかたちで沖縄の経験につながり、沖縄という空間を超えて多くの人々の経験につながっているに違いない。
そのつながりは、出発点においては、おそらく祝福されるべきものではない。
しかし同時に、人々の痛みから目を逸らすこともなく、新たな世界を模索する関係性へと転化していく可能性も、たしかに含んでいる。
一人の元海兵隊員の言葉によって沖縄とベトナムとの間に生まれたつながりも、おそらくその可能性を帯びている。
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